お父さんのせ中(短篇)

「おい、徹夫。釣りに行くぞ。」
ある天気のよい日曜日でした。釣りの話なんかしたこともないお父さんが、どこから探してしてきたのか、釣り道具二つを持ってきました。そして、古い大きな自転車の後ろの荷台に小学3年生になったぼくを乗せ、
「おーい、母さん、今日の夕飯のおかずを釣ってくるから。楽しみにしてろよ。」
と、いつもの大きな声で言いました。
1時間以上たっても父は一匹も釣れませんでした。お父さんとぼくだけは、じっと流れていく川の水を見て釣っていました。

大好きな父の背中。大きいけれど、子どもよりもっと子どもっぽい父の背中。
やっぱりお父さんが、大好きです。